フィリピン 2010年12月20日(月曜日) 南ルソン接続道、ついに開通:工業団地のアクセス向上に期待[運輸]


南部ルソン高速道路(SLEX)と南部タガログ幹線道路(STAR)を結ぶ連絡道「有料道路3号線 (TR3)」が完工から5カ月以上を経て、15日にようやく開通した。マニラ首都圏からバタンガス州に至る区間が全面高速道路化されたことで、周辺の工業 団地運営者から物流の効率化などを期待する声が上がっている。


TR3は、ラグナ州カランバ(SLEX)~バタンガス州サントトマス(STAR)の7.6キロメートルの区間を結ぶ。所要時間は5~10分。一般道を利用した場合、同区間の所要時間が30分~1時間に及ぶこともあり、TR3の開通で大幅な移動時間の短縮が見込まれる。バ タンガス州リパ市で工業団地リマ・テクノロジー・センター(LTC)を運営するリマランドの佐藤観副社長は17日、NNAの取材に対し、マニラ首都圏から バタンガス港までの約100キロメートルが高速道路化されたことで、この区間の所要時間が1時間程度になったと指摘。「首都圏からLTCまでの所要時間も 従来の約70分から短縮され、物流面や従業員の通勤面で改善が期待できる」との見方を示した。
佐藤副社長は、カランバ~サントトマス間の一 般道が住宅密集地を通過する点に言及した上で、「ジプニー(フィリピン式乗り合いタクシー)の運行やトラック事故、大雨による冠水などで慢性的な渋滞が発 生している」と指摘。TR3の利用を通じ、LTCをはじめとするカラバルソン地方(カビテ、ラグナ、バタンガス、リサール、ケソンの各州)の工業団地への アクセスが大幅に改善されるとみている。
■バタンガス港利用促進も
佐藤副社長はさらに、 2008年にSTARのリパ市~バタンガス市区間が開通したことを踏まえ、同年に完工したバタンガス港国際貨物ターミナルの利用活発化に期待。LTCから の同ターミナルまでの距離が35キロと、マニラ港(65キロ)よりも短い点を指摘するとともに、「マニラ港への一極集中がバタンガス港への分散化で緩和さ れれば、トラックによる首都圏の渋滞や大気汚染の軽減が期待できる」とも説明した。
バタンガス港国際貨物ターミナルはこれまで、定期船の運 航が定着しなかったことなどを理由に利用が進んでいない面があったが、タイ系リージョナル・コンテナ・ライン(RCL)がこのほどフィーダー船の定期運航 を決定。バタンガス~シンガポールを往復する週1便を運航する見通しになっている。
■年内は無料開放
SLEXを運営するサウス・ルソン・トールウエーズ(SLTC)は現在、道路料金統制委員会(TRB)にTR3の通行料金を申請している段階。SLTCは今月31日まで、その後も料金が認可されるまでTR3を無料開放する方針を示している。
ビジネスワールドによると、SLTCが申請した1キロ当たりの通行料金は、◆クラス1(乗用車、二輪車など)=3.02ペソ(約5.75円)◆クラス2(バス、小型トラック)=6.05ペソ◆クラス3(大型トラック、トレーラー)=9.07ペソ――となっている。

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