グーグルの翻訳アプリに同時通訳機能 英語とスペイン語で 2011.02.01 Tue posted at: 18:25 JST

(CNN) SFシリーズ「スタートレック」に出てくるような通訳機が、ついに現実の世界にも登場か――。インターネット検索大手グーグルの翻訳アプリ ケーションに、入力された音声をほぼ同時に別の言語の音声に変換する機能が加わった。ただ、多言語を完璧に通訳できるシステムの完成までにはまだ時間がか かるというのが、専門家らの見解だ。

グーグルが先月発表したこの機能は「グーグル・カンバセーション」と呼ばれ、当面は英語とスペイン語 の間の通訳に限定される。携帯アプリ「グーグル・トランスレート」ではすでに文字ベースで数十カ国語の翻訳が可能。同社はこのほかにも、端末のカメラで撮 影した画像を認識、検索できる「グーグル・ゴーグル」を導入し、詩の翻訳にも挑戦する構えを示すなど、野心的な取り組みで注目を集めている。

機 械翻訳の歴史は1954年までさかのぼる。米IBMは同年、初の商用計算機「IBM701」がロシア語から英語への翻訳に成功したと発表した。数カ国語を 自由自在に扱う翻訳機の誕生は間近かと思われたが、文法ルールに基づいたプログラム作りは難航し、その後長年にわたり停滞が続いた。コンピューター言語の 専門家でグーグルとも近い関係にある英オックスフォード大学のフィル・ブランソム氏によると、研究が大きく飛躍したのは90年前後。米国の研究チームが、 文法に基づいた翻訳から、それぞれの言語の統計データに基づく翻訳へと発想を転換したことがきっかけになった。

同氏によれば、グーグル内 部では現在、統計的翻訳に文法ルールを組み込んだ新たなシステムの検証が進められているが、動作に時間がかかるなどの問題が解決されず、実用化のめどは立 たない。これに対してグーグル・カンバセーションは、既存の翻訳システムに音声認識や携帯アプリの技術を組み合わせた機能だ。同氏によると「どの段階にも それぞれエラーが生じる。あまり質の良くない翻訳の両側に音声変換の段階をつなげば、質はさらに低下する」との問題がある。

ブランソム氏 によれば、現在の研究の焦点は、文字ベースの翻訳のスピードと質を改善し、主要言語以外についても同じレベルを達成すること。「道のりは依然として長い」 と、同氏は語る。専門家らは実用的な通訳機を完成させるための主な課題として、話し言葉の速さ、固有名詞などの非頻出語や方言、雑音などの扱いを挙げてい る。

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