裁判員制度がスタートして1カ月が経過した。大阪では地裁本庁と堺支部を含め、23日現在、全国最多の計17件24人が起訴された。女児(9)が虐待を受けて死亡した保護責任者遺棄致死事件や責任能力が争われる強盗致傷事件など注目の公判も多い。公判前整理手続きは7月上旬以降に順次行われる予定で、大阪初の裁判員裁判は9月上旬との見方が強まっている。
これまでに起訴された事件は、殺人1件▽殺人未遂1件▽強盗致傷4件▽覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)4件▽傷害致死2件▽保護責任者遺棄致死1件▽通貨偽造・同行使1件▽偽造通貨行使1件▽強盗強姦1件▽強制わいせつ致傷1件−。制度開始から5日間は0件だったが、その後は起訴が続いた。
最も関心を集めているのは、大阪市西淀川区の市立小4年、松本聖香さん(9)が虐待を受け衰弱死した事件。母親(34)と内縁の夫(38)が保護責任者遺棄致死罪で起訴された。地検は殺人罪での立件を見送ったが、裁判員がどんな量刑判断をするか注目される。
また、守口市の店舗で商品を盗んだうえ店員にけがをさせたとして男(37)が起訴された強盗致傷事件では、被告に精神科の通院歴があり、責任能力の有無が争点になる見込み。心神耗弱なら減軽、心神喪失ならば無罪となり、裁判員は難しい判断を迫られることになる。
このほか、関西空港経由での覚醒(かくせい)剤密輸事件が4件あり、中国人2人とドイツ人1人、ポーランド人1人が起訴された。公判は法廷通訳人を介して行われ、事前準備や当日の通訳がスムーズに進むかが課題。高槻市で5月、夫(58)と妻(56)が心中しようと知的障害を持つ長男(33)を殺害した事件でも量刑判断が焦点になりそうだ。
現在、覚せい剤取締法違反事件の公判前整理手続きが7月3日と9日に予定され、比較的早く準備が進んでいる。ただ、審理予定が決まった場合でも、裁判員候補者には6週間前までに呼出状を送付しなければならないため、最初の裁判員裁判は9月上旬ごろになる可能性が高まっている。
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