石川県救助犬協会連合会

日曜ひろば:石川県救助犬協会連合会の会長・松平博之さん /石川

http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090726ddlk17040359000c.html

 ◇広がる活躍の場 小型犬の必要性も痛感--松平博之さん(53)

 災害現場で人命救助にあたる救助犬をボランティアで育成しているNPO「石川県救助犬協会連合会(IRDA)」。障害者を助ける盲導犬や聴導犬、 人の心を癒やすセラピー犬、警察犬など働く犬の活躍の場が広がっている。単なるペットでなく“ワーキングドッグ”だからこそできることとは何か。IRDA 会長、松平博之さん(53)に聞いた。【近藤希実】

 ◆認知度ゼロ、訓練場もない状況でのIRDA設立だった。

 国内で知られるようになったのは、阪神淡路大震災(95年1月17日)で海外から救助犬が派遣されてから。それでも、認知度は上がらず、ニーズもありませんでした。石川県内では民間の訓練所が個別に育成し、認定基準もばらばらでした。

 災害に備えるには救助犬を増やし、レベルアップしなければ、と10人ほどで任意団体を設立し、02年にNPOになりました。当時は訓練しようにも 公園さえ借りられず、県との防災協定などで徐々に理解されるようになったんです。会員数は現在約130人。自治体と合同の防災訓練も広がっています。

 ◆07年3月25日の能登半島地震の際も、被災地に出動した。

 地震発生は午前9時42分。午後4時半すぎには救助犬7頭で現地に入りました。向かったのは、最も倒壊のひどかった輪島市門前町道下地区。何人か所在が確認されていない人がいたから、片っ端から捜索する必要がありました。

 私は当初、救助犬の仕事など犬にとってみれば遊びで、使命感とか義務感などないと思っていました。ところが、あの時の犬たちはまるで「人を捜さな アカンやろ!」と言わんばかりの顔つき。ケージを開けたとたん、足の保護用のレスキューシューズを履かせる間もなく飛び出していきました。

 ◆救助犬育成で新たに見えてきた課題も

 道下地区では23棟を捜索しましたが、どこも古い家が粉みじんにつぶれていました。お寺の屋根が地面にくっついているような状態で、ラブラドールが突っ込んで行くけど、入り込む穴が見つけられず引き返してきました。

 山の捜索などは持久力がいるため、救助犬といえば中型か大型犬。ラブラドールかシェパードが大半を占めます。でも、能登半島への出動でコーギーやダックスフンドなど小型犬の必要性を痛感しました。小型犬は全国的にも少なく、木造家屋の多い日本で育成は急務です。

 また、犬を運んだり食料を確保する後方支援と共に、外国語通訳や手話通訳の協力者もほしい。救助犬はあくまで行方不明者を捜す役。せっかく見つけ ても、意思疎通できずに助けられないのでは意味がありません。救助犬のハンドラー(指導手)にならなくても「犬好きだけど、何かできることない?」という 人は大歓迎。連携の輪を広げていきたいですね。

==============

 ■人物略歴

 ◇まつだいら・ひろゆき

 1956年金沢市生まれ。現在、猟犬の柴犬5頭を飼育。コミュニティFM「えふえむ・エヌ・ワン」の「わんわんピース」(毎週木曜午後1時~)などでラジオパーソナリティーも務める。

コメント