傍聴人が見た法廷  『冷静判断 涙で不安に』『通訳への配慮感じた』

http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20090910/CK2009091002000144.html

2009年9月10日



 県内二件目となった裁判員裁判の二日目の審理には、百三十六人が四十四席の傍聴券を求めて列をつくった。



 「自分が裁判員候補になる可能性もあるため傍聴した」。さいたま市中央区の大学三年の男性(21)は傍聴の感想をこう話し「(証人尋問で被告の)母親に涙されると、自分が裁判員だったら冷静な判断はできるか不安」。また外国人の被告を裁くことについても「育った環境、文化的な違いをどこまで理解できるかの難しさも実感した」と話す。



 同じく裁判員制度に興味があり、傍聴した川越市今福の団体職員小林敏亮さん(40)は「裁判員の質問は、『息子を愛しているか』など簡単な日本語で、通訳への配慮を感じた。法廷に入り込まなそうな感情の面を裁判員が補い、それが伝わってきた」と裁判員の質問を評価した。



 一方、被告の母親への証人尋問では、検察官が「日本の警察についてどう思ったのですか」と質問したが通訳人にうまく伝わらず、三回同じ趣旨の質問を繰り返した。二人の通訳人は小声で相談し通訳したが、母親が「また悪いことをする心配があった」と答えがかみ合わず、検察側は「はい」か「いいえ」で答える質問に変えた。



 東京都の介護福祉士の女性(62)は「(検察官の質問が)二、三カ所、意味が伝わってないと感じた」との印象を抱いたが、傍聴した大阪大の津田守教授(司法通訳翻訳論)は「通訳は全体的にうまくやった。通訳の問題というよりも、元の質問の意図が分かりにくかったのでは」と質問者側の工夫も求めた。

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