フィリピン人看護師:「二重の偏見」待つ日本へ 日本人との子抱える元ダンサー
http://mainichi.jp/life/health/fukushi/news/20090326dde007040002000c.html
【マニラ矢野純一】日比経済連携協定に基づき、フィリピン人看護師・介護士が5月にも日本へ向かう。応募者の中には、日本でエンターテイナーとして働き、日本人との間に子供をもうけた看護師の女性がいる。女性は、東南アジア出身者に対する偏見などにおびえながらも、日本側の最終選考結果を待っている。
「私には二重の偏見が待ち構えている」。マニラ首都圏で両親と一人息子の高校生と暮らす女性はこう話した。東南アジア出身者への差別に加え、日本での職種から売春を連想する人がいることを指している。
女性は看護学校を卒業後、90年代初めからダンサーとして日本での就労を繰り返してきた。高給が魅力だったが「売春はしなかった」。日本では東南アジア出身者というだけで見下されたり、客にいきなり胸をわしづかみにされたりした。それでも、ゴミひとつない街並みや礼儀正しい日本人など「日本のすべてが好きになった」。
「人生で初めて愛した人も日本人だった」と女性はほほ笑む。4度目の訪日で日本人男性の子を身ごもったが、結婚はかなわなかった。その後も家族の生活を支えるため日本で働き、子供を有名私立高校に通わせる。訪日ビザの取得が難しくなった05年以降は、月給9000ペソ(約1万8000円)で看護師として働いている。
日本で再び働くため、仕事の合間に日本語を必死に勉強している。ひらがなは読めるが、漢字はカラオケで覚えた「港」「恋」「心」ぐらいしか分からない。「子供と一緒に日本で暮らすのが夢です。一生懸命働いて、偏見を乗り越えたい」と日本語を交え話した。
比海外雇用庁が1月、日本で働く看護師などを募集したところ、約5000人が殺到。女性は同庁が書類審査などで絞り込んだ536人に残った。今月中に行われる日本側最終選考で、このうち約20%がふるい落とされることになる。
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