障害者にも優しい裁判所へ 筆談や点字翻訳の機器導入=青森

http://osaka.yomiuri.co.jp/possibility/news/ps90711b.htm 

9月上旬に県内でも始まることの決まった裁判員裁判に向け、青森地裁は、障害のある裁判員が参加するための準備を着々と進めている。6月下旬には、聴覚障害者用の筆談器、視覚障害者用の点字翻訳機器の導入を終えた。地裁は「選任手続きが始まるまで再点検し、万全の態勢を整えたい」としている。

 裁判員法は、「心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者」は裁判員になれないとだけ定め、障害者も原則、裁判員に選ばれる。

 地裁は、聴覚障害者に関して、録音テープなど音声記録が争点になる事件を除き、裁判員の対象者とすることを決めた。このため、裁判員の選任手続きでは専用ペンとボードでやり取りする筆談器を導入。聴覚障害者が裁判員になった場合は手話通訳などを依頼する。

 視覚障害者に関しては、凶器など形状の審理が判決を左右する事件を除いて裁判員の対象者にする。選任手続きに向け、呼出状や質問票などの書類を点字に変換する点字翻訳機器を準備した。

 ただ、公判で証拠として提出される供述調書などは量が膨大であるため点字翻訳はせず、評議で証拠書類を読み直す必要があれば裁判官が読み上げることにした。

 地裁内の施設も整備され、新たに障害者用のトイレを設置したほか、階段に車いす用のリフトも取り付けた。

 このほか、障害者の裁判員は、法廷や評議で裁判官の近くに座席を設け、視覚障害者には裁判所まで道案内するガイドヘルパーの派遣も検討している。

 青森県ろうあ協会・浅利義弘事務局長「裁判でどれだけ情報が得られるか心配な面もあり、情報を正確かつ迅速に伝えられるようにしてほしい」

 青森県視力障害者福祉連合会・福井秀実会長「裁判員は国民の義務であり権利。視覚障害者も積極的に参加したい。現場写真を見る場面では、客観的に状況を説明してもらえれば十分理解でき、裁判に何ら支障はない」

(2009年07月13日  読売新聞)

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