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- 2010年01月31日
- 今週の本棚
「ハリー・ポッター」シリーズを翻訳した女性の半生を綴った自伝である。
今では世界で知らない人がいないほどの有名な童話を翻訳するまでに至る、ほんのちょっとした、何気ない出会い。そして何より彼女が積み重ねてきた努力が、「ハリー・ポッター」の奇跡を呼び寄せる。
勉強好きハーマイオニーのような、孤独な完璧主義の優等生から、切磋琢磨の学生時代。勉強、勉強の毎日。そして結婚、伴侶や家族との永遠の別れ。自らの 仕事と、遺された出版社と日本ALS協会の存続に奔走する日々。ひとりの自立した女性、そして翻訳家としての生き様が淡々と綴られている。
どんなに苦しい状況でも、あきらめずに翻訳の仕事をこなしていった彼女の強さは、それもひとつの才能なのだと感じた。むしろこの本を読んで、翻訳家にな るのを尻込みしてしまう人も多いかもしれない。しかし、「ハリー・ポッター」シリーズの翻訳を通して生み出される、翻訳以上の国際的な出会いや出来事、そ して何事にも代えがたい達成感に憧れを持つ人もそれ以上に多いのではないのだろうか。
通訳や翻訳は裏方の仕事であるが、膨大な下準備が必要だ。プロの翻訳家はベースとなる参考資料を集め、正確な情報を頭に叩き込んで伝えなければならな い。そして、正しい訳にするということよりも、よりスマートな言葉に生まれ変わらせる努力をするところから、むしろクリエイティブな仕事に匹敵する。
そのために、著者に直接インタビューし、現地に飛び、同じ空気を吸う。物語に出てくるお菓子の名前のような小物もどんなものなのか、ちょっとした勘違いで訳に影響を与えるため、現地の人たちによるチェックも不可欠だ。
本書では、翻訳作業、契約交渉など、一般人にはほとんどなじみのない、業務の裏話が載っている。翻訳家や通訳に興味があるなら、その仕事に不可欠な性格や、仕事の具体的な描写が非常に参考になると思う。
ハリー・ポッターの登場人物に寄せる思いや、翻訳した本、一冊一冊にまつわる裏話や、キーとなる言葉の訳し方についての解説が記されていて興味深い。お そらく、ハリー・ポッターの日本語訳と原書を併せて読んでみると面白いと思う。私は原書のみ読んだ事があるのだが、日本語訳がどれほど練られたものである のか、非常に興味が沸いた。
今では世界で知らない人がいないほどの有名な童話を翻訳するまでに至る、ほんのちょっとした、何気ない出会い。そして何より彼女が積み重ねてきた努力が、「ハリー・ポッター」の奇跡を呼び寄せる。
勉強好きハーマイオニーのような、孤独な完璧主義の優等生から、切磋琢磨の学生時代。勉強、勉強の毎日。そして結婚、伴侶や家族との永遠の別れ。自らの 仕事と、遺された出版社と日本ALS協会の存続に奔走する日々。ひとりの自立した女性、そして翻訳家としての生き様が淡々と綴られている。
どんなに苦しい状況でも、あきらめずに翻訳の仕事をこなしていった彼女の強さは、それもひとつの才能なのだと感じた。むしろこの本を読んで、翻訳家にな るのを尻込みしてしまう人も多いかもしれない。しかし、「ハリー・ポッター」シリーズの翻訳を通して生み出される、翻訳以上の国際的な出会いや出来事、そ して何事にも代えがたい達成感に憧れを持つ人もそれ以上に多いのではないのだろうか。
通訳や翻訳は裏方の仕事であるが、膨大な下準備が必要だ。プロの翻訳家はベースとなる参考資料を集め、正確な情報を頭に叩き込んで伝えなければならな い。そして、正しい訳にするということよりも、よりスマートな言葉に生まれ変わらせる努力をするところから、むしろクリエイティブな仕事に匹敵する。
そのために、著者に直接インタビューし、現地に飛び、同じ空気を吸う。物語に出てくるお菓子の名前のような小物もどんなものなのか、ちょっとした勘違いで訳に影響を与えるため、現地の人たちによるチェックも不可欠だ。
本書では、翻訳作業、契約交渉など、一般人にはほとんどなじみのない、業務の裏話が載っている。翻訳家や通訳に興味があるなら、その仕事に不可欠な性格や、仕事の具体的な描写が非常に参考になると思う。
ハリー・ポッターの登場人物に寄せる思いや、翻訳した本、一冊一冊にまつわる裏話や、キーとなる言葉の訳し方についての解説が記されていて興味深い。お そらく、ハリー・ポッターの日本語訳と原書を併せて読んでみると面白いと思う。私は原書のみ読んだ事があるのだが、日本語訳がどれほど練られたものである のか、非常に興味が沸いた。
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