日本フィリピン偽装結婚:給与の7割搾取 “高賃金”の心理を利用 /熊本 - 毎日jp(毎日新聞)

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日本フィリピン偽装結婚:給与の7割搾取 “高賃金”の心理を利用 /熊本

 日本人の男とフィリピン人の女による偽装結婚事件の審理が熊本地裁で進んでいる。ブローカーとされる河合厚志被告(45)は日本の高賃金にひかれ るフィリピン人の心理を利用し、十数組の偽装結婚をあっせん。女が風俗店で働くなどして得た給与の約7割を搾取していたことなどが明らかになってきた。 【遠山和宏】

 事件では、県警組織犯罪対策課と熊本東署が昨年10~12月、偽装結婚したとして日本人男とフィリピン人女3組や仲介した男ら計11人を電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで逮捕した。

 人身売買禁止ネットワークや県警などによると、フィリピンの平均的給与は2万円程度。日本で働く金銭的な動機付けは大きいが、近年は入国審査が厳格化され滞在資格を得るのが難しい。偽装結婚をすれば「日本人配偶者」として在留資格が得られる。

 風俗店などで働けば月給は30万円。7割程度搾取されても10万円弱が残り、フィリピンの5倍の収入になる。日本人の男はブローカーからもらう月5万円(2年間程度)や事前報酬など150万~200万円が偽装結婚の「メリット」になる。

 河合被告はフィリピン国籍の女、イトウ・アナリー・ベレン被告(37)から「日本の在留資格をほしがっているフィリピン女性が多くいる」と聞いた ことがきっかけで偽装結婚のあっせんを始めたという。河合被告は日本人の男に話を持ちかけ、相手となるフィリピン人の女はイトウ被告に探させていた。立件 された3組だけで計約1200万円を稼いでいたという。

 偽装結婚したとして逮捕・起訴されたフィリピン人の女(27)の裁判が昨年12月あった。女は下着姿で接客する愛知県の飲食店で働いていた。被告 人質問で女は「午後7時から午前2時か3時ごろまで働き、休みは月2日。月給は7万~8万5000円だった」と語った。「3歳の娘のために稼ぎたかった」 と涙を流し「旅券は河合被告らに取り上げられていた。逃げられないようにするためだったと思う」と話した。

 相手の男(33)は熊本市在住。前妻と離婚し仕事が安定せず養育費も払えない状態だった。そんな時偽装結婚を持ちかけられた。男は法廷で「お金が欲しかった」と述べた。

 人身売買禁止ネットワーク共同代表の吉田容子弁護士は「女性は自分たちの意志で来ていると言われるが、ブローカーは仕事内容を詳しく伝えないなど、だましに近いやり方をしている。稼ぎたいという彼女たちの気持ちを利用した労働搾取だ」と指摘している。


毎日新聞 2011年1月28日 地方版

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